三叉神経痛
三叉神経は太い脳神経で、知覚神経節から三叉に分かれるのでこう名付けられました。知覚神経節から枝分かれする3つの枝は眼神経、上顎神経、下顎神経で、それぞれかなり広範囲に顔面の皮膚や粘膜に分布しています。(3つの枝の支配する領域を合わせると、顔面の大半を占めているといっても過言ではありません)
この三叉神経が分布する領域の一部に生じるのが三叉神経痛で、顔面のかなり広い範囲に痛みを引き起こします。特に、頬から顎の周辺に痛みが生じるケースが多いです。切られるような、刺されるような鋭い痛みが特徴で、これが繰り返し起こります。また、口を開ける、歯を磨くなど顔面の皮膚を動かすと、激しい痛みに襲われることが多いです。主に季節の変わり目などに発症します。
なお、蓄膿症や副鼻腔炎、耳の内部の炎症、ウイルス性の疾患などが原因となって、三叉神経痛を引き起こすケースもあります。
肋間神経痛
12対ある胸神経の前枝が肋間神経と呼ばれ、各肋骨の下縁に沿って肋間隙を走行し、肋間筋、腹筋、胸壁、腹壁の皮膚などに分布します。この肋間神経の走行に沿って痛みが生じる疾患が、肋間神経痛です。
肋間神経痛は明らかな原因が分からない原発性の肋間神経痛と、原因のはっきりした続発性の肋間神経痛に大別されます。続発性肋間神経痛で最もよくみられるのが、ヘルペスウイルス感染症による帯状疱疹が原因となって引き起こされるものです。その他、肋間神経痛には、疲労が原因で起こるもの、脇腹を打った打撲傷によって起こるものがありますが、これらの原因で発症するケースは極めて稀です。また、一時的な症状に過ぎませんが、胸部など肋間神経の分布する領域に一過性の痛みが生じるケースもあります。
坐骨神経痛
坐骨神経は鉛筆ほどの太さがある人体最大、最長の神経で、大坐骨孔を通って骨盤の外に出て、大殿筋の下縁中央で大腿後方にあらわれ、大腿部後面の下方(膝窩のやや上方)で総腓骨神経と脛骨神経に分かれ、さらに下腿を走行します。この長大な神経の支配領域に沿って腰部、殿部、大腿部、下腿部など広範囲に痛みが生じる症状が坐骨神経痛で、痛みだけでなく下肢のしびれをともなう場合もあります。症状は片側性で、下肢を伸展した時、歩行時などに痛みが走ります。
坐骨神経には脊椎分離症、脊椎すべり症、腰椎椎間板ヘルニアなど脊椎の疾患によるものがありますが、筋膜が炎症を起こした筋筋膜性のもの、冷えによる一時的に坐骨神経に沿って痛みが出る坐骨神経痛もあります(そのうち、脊椎分離症、脊椎分離すべり症による坐骨神経痛は極めて稀で、大半は腰椎椎間板ヘルニアによるものか、筋筋膜性の坐骨神経痛だと考えて間違いはない)。